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豊田道倫
『サイケデリック・ラブリー・ラスト・ナイト』
(Psychedelic Lovely Last Night)

WEATHER 077 / HEADZ 236
価格:2000円+税
発売日:2019年1月18日(金)



1. 国道沿いの
2. シャーク
3. サンシャイン・グレイブヤード
4. 午前2時のメリー・ゴー・ラウンド
5. サイケデリック・ラブリー・ラスト・ナイト
6. レボリューション48
7. 1991

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4月、東京・大阪にてパラガ名義でのライブ公演《平成最後のパラダイス・ガラージ》開催決定!!!







MT & HEADZ present
豊田道倫『サイケデリック・ラブリー・ラスト・ナイト』
発売記念スペシャル・インストア・イベント at ビア&カフェ BERG(ベルク)
[2019年1月27日(日)]
スペシャル・ライブ・レポート



昨年の暮れに早稲田松竹でホン・サンス特集を見て、豊田さんに映画見ましたとメールをしたらお茶に誘われ、ベルクで一服し、それから歌舞伎町のBarで飲んだ。豊田さんはジンジャーエール、僕はハイネケン。『夜の浜辺でひとり』は失恋したキム・ミニがドイツの街を友人とぶらぶらして、韓国に戻り、友人とマッコリを飲んで、最後は元恋人の老監督に愚痴をぶつけて終わる映画で、泣きながら老監督に「愛はつらい」と言うキム・ミニと、そのセリフを言わせているホン・サンスについて豊田さんと大いに盛り上がった。
ホン・サンスはどうしてあんなに綺麗な女優と付き合っていながら愛について悩み続けているのか。老成すれば色恋の機微にいつまでも執着することはないんじゃないか。そんなことも思ってしまうが、映画から切実さだけは伝わってくる。豊田さんはホン・サンスの映画がないと生きていけない、とまで言う。

年が明け、1月27日日曜。ベルクでの豊田さんのライブに向かった。開演30分前に着くと、ベルクの前は行列が出来ていた。一般のお客さんと、ライブ目的のお客さんが混在した店内。喫煙コーナーの奥にスピーカーが置かれ、PAとして宇波拓さんがミキサーで音量を調整している。開演時間の直前に豊田さんはヌッと現れ、HEADZの荻原さん、ベルクの井野さんがライブ前の諸注意を話した。二人の声はマイクを通しても音量が小さく、そりゃあインストアライブだもんな、と思った。
豊田さんがマイクの前に立つ。ギターの一音目から音量が大きく、先ほどの前説から流れる時間を引きちぎるように、人でごった返している店内の空気と情景が変わる。一曲目は「あの汚くなった靴をあの娘はひとりで買ったのだろうか」。夜の街で黒ずんだ靴を履いた女の子の歌。ここが新宿だからなのか、思い浮かぶのは深夜の歌舞伎町だ。2004年の名盤『SING A SONG』に収録されたこの曲。豊田さんは15年経った今でも「あの娘」のことを歌っている。二曲目「大阪で一番長い詩を書いた」。カメラは大阪のホテルの一室に飛ぶ。男は一晩で69枚の長い詩を書いて朝起きて捨てる。新作『サイケデリック・ラブリー・ラスト・ナイト』にも収録されていない新曲。激しいギターリフから立ち上がってくる歌詞を破り捨てるように、1分程で唐突に物語が終わる。余韻を振り切るように三曲目「ラッキー・ストライク・シンガーソングライター」。音楽に取り憑かれた男が煙草をふかしながら生と死の境目を歌っているような新曲。最近の豊田さんの新曲は往年のポップセンスと真理を突く言葉が融解し、棘だらけで美しい人間の心情を丁寧に描いている。「歌を作りたい、売れなくてもいい」というキラーフレーズがいつまでも耳に残る。

そこからの細かい記憶はあまりない。ビールを飲んでしまったからなのか、すし詰めのお客さんの中で下を向き、目をつむって音楽の情景にひたっていた。ライブは怒涛の勢いで進み、最後の「国道沿いの」は何もない場所で一人たたずむ男の背中が見えた。僕は軽く挨拶をしてベルクを出た。映画のようなライブだった。階段を上った新宿駅の東口にはたくさんの人が往来していた。その人たちを眺めながら、切実さとはなんだろうか、と考えていた。「歌を作りたい、売れなくてもいい」。そういう表現を自分は出来ているだろうか。
豊田さんはパラガの『愛と芸術とさよならの夜』制作中のインタビューで「もう一回、ちゃんと自分に正直に、本当にいい音楽を自分の体で好きかどうかってことをずっと自問してる」と語っていた。「お前はどうだ?」豊田さんの音楽は人を突き離さず、抱きしめるでもなく、煙の向こうからちゃんとした言葉で投げ掛けてくる。だから返事が出来なくて、いつもうろたえてしまう。新宿駅の東口で、まだ何も返答出来ていない自分に気付き、座り込んでしまった。

岩淵弘樹



写真:迫川尚子(写真家/新宿ベルク副店長)










パラダイス・ガラージの18年振りの新作アルバム『愛と芸術とさよならの夜』が非常に高い評価を受け、ロングセラーを続ける中、豊田道倫が今度は本人名義にて新作アルバムを急遽リリース。

タイトルは『サイケデリック・ラブリー・ラスト・ナイト』。 ビートルズのホワイト・アルバム(『The BEATLES』)50周年記念盤や「1968年 激動の時代の芸術」展にもインスパイアされた、MT(豊田道倫)流サイケデリック・アルバム。

『愛と芸術とさよならの夜』で確立した、歌唱・演奏・録音からミックスまでも一人で仕上げる方法論は、一気に進化し、遊び心や実験をふんだんに散りばめた、ギターをメインに据えたオーガニックなアレンジが印象的な作品となった。9分越えのアルバムのタイトル・トラックを始め、これまでの作品とも違う、カラフルでポップなサウンドが刺激的。
ゲストに女子高校生MC/宅録アーティスト、玉名ラーメンをフィーチャー。

CDデビューから23年、創作意欲は止まることを知らず、初期衝動を忘れることなく、そして常に挑戦し続けるMTの新たな傑作が、2019年幕開けと共に早くも登場。



photo by 倉科直弘




 


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